アメリカでの妊娠中の就職活動について前回書きました。今回はその続きです。
>>アメリカで妊娠中の就職・転職活動。就職前に妊娠を言うべき?黙って就職しても大丈夫?
アメリカの会社では、就職して働き始めてから妊娠を伝えた場合の周りの反応はどんな感じでしょう?「妊娠を黙って就職したなんてあり得ない!迷惑がかかるこっちの身にもなってほしいわ!」なんて陰口をいわれるのでしょうか?
もちろんアメリカ会社の反応といっても就職した先の会社やポジション、さらにボスや同僚にもよるのでアメリカといえでも会社によって反応はいろいろです。ここで紹介するのはアメリカの一つの会社でのことなので、これがアメリカの全てではありません。念のため。
今日のトピック
アメリカで就職した後に妊娠を告白した時の同僚&上司の反応は?
わたしの会社では、妊娠を黙って就職した派遣社員の女性に対して、妊娠を黙って就職したなんてあり得ない!という反応はありませんでした。
仕事が始まってから2週間目に、実は妊娠してますと一緒に仕事をしている社員の女性に告白しましたが、どちらかというと好意的というか、むしろ「妊娠中に働くのって大変だよね、わかるわー」という同情的な反応です。
派遣社員の彼女の仕事は、主にグリーンハウスでのサンプリングと実験室での実験です。
立ち仕事、軽い肉体労働がメインですが一日8時間立ちっぱなしというわけではありません。仕事のノルマきつくなく、忙しいときは忙しいけど、何もないときもあるポジションです。このポジションは私が以前にしていた仕事です。
妊娠しているから特に仕事内容が変わる事はありませんが、常識の範囲でムリをさせないという気遣いしをしています。体調が悪いなら早めに休むこと、キケンな試薬は扱わないことなど。
アメリカの職場での妊婦女性に対する反応が好意的でいいなと思ったので、その理由を考えてみました。
妊娠中に働いていた女性が多いので働く妊婦の状況がわかる
私が働いているチームは、ここ2,3年は毎年誰かが出産をして育児休暇をとっているので、そもそも妊娠中の女性が働くことに理解があります。それは、自分たちも妊娠中に働いていたから大変さがわかるという意味でもあり、妊娠していても働けることを知っていること。
自分ができたからあなたもできるはずよ!という感覚ではありません。個人主義のアメリカ、むしろ他人は他人、自分は自分です。
妊娠中の体調はひとそれぞれなのはあたりまえ、妊娠中でも働けるから職場に来ている、仕事ができないほど体調が悪いならそもそも職場に来ないでしょ。という感じです。
チーム内の男性も働く妊婦に免疫がある
わたしのチーム内の男性2人の奥さんも働く母親です。
男性社員も自分達の妻も妊娠中に働き子育てをしているので、妊娠中の女性が働くことに理解があり派遣の女性に対してサポート的。ちなみにうちのチームの男性陣はふたりとも中国人です。大学や大学院から米国に来てそのまま就職しているひと。
中国人もひとによってはものすごく妊婦さんに気を使う人もいます。重い物は絶対だめとか、パソコンすらダメとか。おそらくわたしの会社の男性陣は、自分の妻もふくめていままでに働く妊婦を何人もみているので、働く妊婦に抵抗が少ない、ようは慣れているんだと思います。
男性社員の対応も、派遣社員としての仕事はきっちりたのむけど、体調が悪いならば休むようにとの気遣いはしています。常識の範囲でやはりムリはさせないけど、仕事はきっちりしてねと。
男性も女性も働く妊婦に慣れています。この派遣の女性に限らず、私からみたら「そんなに働いて大丈夫??」と思うぐらい、妊婦の正社員の人たちも働いています。
他人は他人と自分は自分と同時に、自分のことは自分で責任を持つという意識が高い。
まわりも妊娠中の彼女に気を配りますが、基本は本人が無理だと思うなら自分から休むことが当たり前。
周りが気がついてくれるまで我慢して、周りに休んでいいよと言われるまで休まないとかないです。そんなことは誰もほめませんし、むしろ「自分のことも自分で管理できないのか?なぜ自分のことがわからないのか?」どちらかと言うと、自分に対して責任感がない、自己管理ができないというネガティブな印象になります。
体調の悪いときは、「今日は体調が悪いので、休みながらやります」とか「今日は早めに帰ります」とか、妊娠中の彼女も自己管理をして働いています。これは、派遣社員といってもある程度は自分で仕事のスケジュール管理ができるからでもありますが。
妊婦女性本人の責任感とやる気が一番重要
妊娠中の働く女性に理解がある職場といっても、やはり彼女に対してまわりがサポート的なのは、彼女のふだんの仕事ぶりがきっちりしていて社員から信頼されていることが一番大きいです。
例えば、仕事がすこし遅くなる場合でも、「私は妊娠しているから、全体的に仕事をゆっくりします」ではなく、「今日は体調がわるいので、この仕事は明日になります。今日はここまでやります」とか。
できることは責任を持ってやるという姿勢は大切。そもそも仕事ができないと思われたら、派遣社員は簡単にクビになりますから。
アメリカの社会全体が働く妊婦に慣れている
私の場合は、妊娠がわかったときはインターンシップ先が決まった後でした。
その時のインターンシップは、朝7時から夕方5時半まで主に外で働くというもの。ランドスケープ会社で花壇や庭の手入れが主な仕事。仕事が始まるときはすでにお腹が大きくなったころ、しかも屈んでの作業が多くなる仕事だったので、私はこのインターンシップは辞退しました。
そのかわりに大学のグリーンハウスで働きました。もちろん妊娠していることは伝えた上です。
予定日の2ヶ月前ぐらいまで働いていました。さすがに土を運んだり、水を運んだりの力仕事は、男性の学生さんに頼んでやってもらいましたが、あとはわりと普通に働きました。
その時も特に妊娠しているから特別に簡単な仕事をたのまれるわけでもなく、必要なことはやはりきっちり頼まれました。
テレビでもお腹の大きい女性リポーターをたまに見かけます。
アメリカ社会が妊婦が働くことに慣れている。働く妊婦が多いので特別なことと捉えられていない感じです。
アメリカの会社で妊婦を雇うことに抵抗が少ないのは精神的な違いもある?
あとはこれはデリケートなことですが、アメリカでは妊婦さんが万が一流産しても、それが妊婦の行動のせいではなく、むしろ避けられなかった不幸なこととして受けとる風潮も大きいと思います。
日本だと、万が一があったら本人だけでなく、周りも責任を感じることが多い。
そのため、よけいに妊婦さんを働かせることに抵抗が大きい。万が一があったら責任とれない、後味が悪いからできれば雇いたくない。そういう流産に対する責任感の考え方の違いもある気がします。
アメリカの就職事情。妊婦女性が就職した時の周りの反応まとめ
アメリカの会社といっても規模も会社の文化もちがうので一般化はできませんが、わたしの職場では妊娠中の女性が働くことに好意的な雰囲気です。
私が日本の社会とは違うなと思った点はおもに3つ
- 今までにもそして現在も妊娠中の女性が働いているので女性も男性も働く妊婦に慣れている
- 体調管理もふくめ自己管理は自分の責任という意識が高い
- 流産に対しての責任感の違い
アメリカの会社は、たしかに妊娠した女性でも働きやすい職場ですが、それは妊婦さんにもできるだけ普通に働くことが求められる社会でもあります。これはこれである意味厳しいですが、「個人の働きたい意思が尊重される」という点でアメリカの会社のほうが働きやすいと、個人的に思います。
日本とアメリカの就職事情を比べると、その制度の違いに目がいきがちです。でも制度よりもむしろ個人の意識や文化の違いの方が影響が大きいなとしみじみ思います。
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では、今日はここまで。
Have a good day!
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