妊娠中の就職・転職活動は、日本ではもちろんのことアメリカでも大変です。
妊娠中の就職活動はできれば避けたいですが、それでも就職活動をせざる得ない状況になったり、就職活動中に妊娠したりと妊娠中に就職や転職活動をすることはありえること。
8月にわたしのチームで雇った派遣のテクニシャンの女性が働き始めてから2週間目に「実は妊娠しています。このまま働くことに問題ありますか?」と彼女のボスに伝えました。彼女の予定日は2月ですが12月末の今でも変わらずに働いています。
アメリカの女性たちは、妊娠中の就職活動をどうのりきっているのでしょうか?
今日のトピック
妊娠中の就職・転職活動。いつ妊娠を伝えるべき?
これは、日本でもアメリカでも妊娠中の女性にとっては頭を悩ます問題です。それぞれの女性によって状況が違うので、こうするべきといった決まりはないのが難しい。とは言うものの、妊娠をつたえる時期の見えないルールのようなものはあります。
アメリカの妊娠中の就職活動の暗黙のルール
- 妊娠初期であれば、就職面接で伝えないほうがいい
- 電話面接の段階では、妊娠していることを伝えないほうがいい
- あきらかに妊娠していることがわかる場合は、面接中に自分から言った方がベター
- 面接が複数回ある場合や、フルタイムの重要なポジションであれば、ほぼオファーがきそうな段階で言ったほうがベター
参考1:The Unofficial Rules of Job Hunting While You’re Pregnant by the Muse
参考2:4 Women Share What It’s Like to Get a New Job While Pregnant by Cosmopolitan
わたしの身近のケースでは、うちのチームで働く派遣社員の女性もそうですが、前に一緒に派遣をしていて他社に転職した女性も就職活動中には妊娠を伝えていません。妊娠中に転職した女性は、働き始めてから妊娠していることを伝えるとのこと。出産後は2,3ヶ月休んでから復帰する予定だと言っていました。
日本では「就職先に迷惑がかかるから、就職活動中に妊娠を伝えるべき」という意見が多いと思います。でもアメリカではむしろ「就職活動中、特に妊娠初期では妊娠を伝えなくてもいい」というアドバイスが多く、わたしの周りでも妊娠を伝えずに就職活動をしています。
アメリカでは面接官が女性に結婚の予定とか子どもの予定を聞くことは違法
またアメリカでは、面接官が就職面接で、人種、結婚、子どものことなどの個人的なことを聞くことは違法です。
日本では就職する女性に対して独身であれば、「結婚して子どもができても仕事を続けますか?」とか、結婚していれば「妊娠する予定は?子どもができても働くの?」とか聞くこともあります。わたしも27歳で独身の時にで就活したときは、年配の男性面接官に聞かれました。この質問アメリカではありえません。
これは就職の際の差別を禁止しているので、アメリカでこんな個人的なことを面接官が質問したら訴えられる可能性大です。
もちろん、どんなに妊娠していることが見た目で分かる場合でも面接官から「妊娠しているの?」と聞くことはありません。アメリカでは「妊娠していることを面接中に伝える義務はない」ですし、就職後に妊娠していることを伝えて、妊娠を理由に女性をクビにすることも違法です。
女性が妊娠していることで差別を受けないように守られているとはいっても、妊娠している女性と妊娠していない女性で能力が同じなら、妊娠していない女性が選ばれるのがやはり現実。
そのため、「就職活動中には妊娠していることを伝えない方がベター」ということになり、実際に妊娠中の女性たちは妊娠していることを伝えずに就職しています。
アメリカの産休&育休制度はものすごく貧弱
さて妊娠中に就職できたら、次の問題は産休や育児休業のこと。これは、住んでいる州でも違いますし、そもそも働いている会社によって大きく違います。
アメリカのいわゆる育児休暇制度は、FMLA (Family & Medical Leave)で定められています。これがなんと、最長12周間!!3ヶ月ですよー日本の皆さん!!もう一度いいます、アメリカの法律で規定されている育児休暇は3ヶ月、しかもポジションが保証されているだけで無給です!
さらに、これですらその会社で1年働いた後から適用されます。しかも従業員が50名以上の会社のみです。ものすごく貧弱な産休&育休制度ですね。
これが国レベルの法律で、あとは州によってはある程度お給料が保証されたShort-term disability短期間の病気や怪我の時に使う制度が出産後も使える州もあります。すくないですけど。これに会社ごとの産休&育児休暇制度がつきます。
アメリカの会社ならさぞかし立派な産休&育児休暇が用意されているに違いないと思った皆さん、わたしの働く会社だとこんな感じですよ。これでもそこそこの規模のアメリカの会社なんですけど。
例えばわたしの会社で産休&育休とるとすると
- Short-term disabilityで100%お給料が保証されている期間が最長8週間(勤務日の初日から使える)
- Maternity leave はお給料95%で6週間
- 有給休暇は初年度15日
妊娠中に病院に行ったり、体調悪くて休んだり、復帰後に子どもの病気で休んだりを考えると、有給はとっておきたい。そうすると実質のところ14週間です。もちろん時短制度なんてなにそれ?です。
ちなみに派遣社員の場合は、派遣先の会社ではなくて派遣会社(エージェント)のポリシーが適用さるので、別で確認が必要です。
実際に職場復帰する女性達は、だいたい3ヶ月前後に職場復帰しています。
もちろん出産前よりも出産後に長く休みたいので、本当に出産前日か当日まで出社しています。つい先日に産休から復帰した同僚は、今夜あたり生まれるかもと言いながら職場にいましたから。で、その次の日に生まれましたメールが来ました。
アメリカ女性達が出産後の復帰が早いのは、無痛分娩が普通なので、出産後の体力の回復が早いというのもありますが、そもそもそういう制度なのでしょうがないんですね。
アメリカの女性たちも、もっと休みたい、3ヶ月の赤ちゃんを保育園にいれるのが辛い。そんな思いで復帰してます。
私は出産後7ヶ月から仕事を始めたので、周りに比べるとあかちゃんとの時間が取れた方です。7ヶ月かと思っていたら、まわりは3ヶ月とかだったのでなんか慰められました。
妊娠中に就職活動をする場合は、保険の内容や州の育児休業制度の確認など、生まれた後のフォローも大切。と言うか生まれた後のほうが重要ですね。
参考:Maternity leave checklist by baby center
アメリカの妊娠中の就職活動のまとめ
アメリカでも妊娠中の就職活動はデリケートな問題です。それでも就職活動しなければならないなら、早めに動く。
妊娠初期であれば、妊娠していることを伝えずに就職することはよくあることです。就職した後も、職場によりますが妊婦が働くことに理解がある社会のような気がします。
>>【アメリカの就職事情】雇った派遣の女性が妊娠していた!アメリカの会社の反応は?
ただ、さすがに妊娠後期だと就職・転職はかなり難しいのはかわりません。うごくなら早めにです。
心配しすぎて何もしないよりも、動いてみたら心配ごとは起こらなかったり、いがいと何とかなったりするもの。体調がいいのであれば妊娠中だからとか、これから妊娠したいからといってキャリアを諦めるのはアメリカではもったいないと思います。
女性のキャリアと結婚・出産・育児は切り離せない。女性のキャリアが完全に分断されることなく、その時に応じてキャリアを続けられる社会がいいなあと思います。その点はヨーロッパの方がいいのかもしれないですね。
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では、今日はここまで。
Have a good day!
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