アメリカの幼児の学力テストは無意味―マットデイモンを育てた母親の教育論 その2

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こんにちは、あるまむです。
前回に続いて、マットデイモンを育てた母親の教育論その2です。思いのほか長くなってしまったので記事を2つに分けました。今回は、彼女のインタビュー記事を紹介します。
 

マットデイモンを育てた母親の幼児教育論 その1は彼女のスピーチを元にした記事です。

The Progressiveのインタビューで、マットデイモンの母親カルソン=ペイジさんが語った現在のアメリカの教育のあり方について、気になった点を書き出しました。(個人的に関心のあるところを書き出し意訳編集していますので、全文を知りたい方は原文をお読みください。)

Matt Damon’s Mom, Nancy Carlsson-Paige, Talks Public Education
The Progressive (posted: December 4, 2014)
 

1.就学前や低学年の子供に対して、テストによる学力評価は意味がない

“The issue for young kids isn’t to have a right or wrong answer but to build ideas over time. All of this is much more complex and not quantifiable.”

 「5歳、6歳、7歳には大きな違いがあり、また同じ年の中でも大きな違いがある。それなのに彼らが何を学ぶべきかを基準化しようとすることは馬鹿げていると思いませんか?」

という質問に対するカールソンさんの答えは

  • 幼児期の学力テストは信用できない。3年生ぐらいまでテストを考えなくてもいい
  • 幼児の評価には、子供を観察することが一番重要
  • いろいろなことを学ぶことは個人差がとても大きい
  • 幼い子供にとっては、正しいまたは誤っている答えを知っていることではなく、時間をかけてそのアイデアを作り上げていくことが重要

子供が学ぶ過程はとても複雑すぎるので数値化できるものではない。まったくその通りだとおもいます。数値に一喜一憂するうちに子供を見失うことのないように肝に命じたいと思いました。

2.テストのもとになっている基準(Common Core)自体に意味がない

“Now the trend is very clearly to align pre-K standards with the Common Core, which are off the wall in the first place”

  「テストを受けることやCommon Coreは、5歳児にとってよいことですか?と質問されたら、マットデイモンの母親としてどのように答えますか?」

注釈:Common Coreとは、2009年にアメリカで発表された、全米標準学力基準書(日本語の正式名称不明です。)のこと。数学と英語(国語)について、高校卒業までに学ぶべきことの基準書。それを元に各学年ごとにその年に学ぶべきことの内容を順番に書き出し、最終的には幼稚園児が習うべきことまでを基準化しています。さらに詳しいことはこちらから Common Core

この質問に対してカールソンさんは

  • Common Coreとは、国がトップダウンで作成し急速に義務化されたもの
  • Common Coreの作成に、幼児教育にたずさわる教育者が一人も参加していなかった
  • 学習内容を標準化する”というアイデアだけを単純化し幼児にまであてはめただけ
  • 5歳、6歳、7歳児がどのように学ぶかということとはまったく関係ない基準書
  • Pre-Kの基準をCommon Coreに合わせることは無意味

幼児を対象にしたCommon Coreについては、「 これはとてもバカげたことです。」と。

私が特に共感したのは 

その結果、6歳で100まで一つ一つ順番に、または10単位でも数えることができる幼稚園児がたくさんいます。しかし、100まで数えられることと数の概念を理解していることは全く関係ありません。数の概念は、幼い間に時間をかけて作り上げるものなのです。
 
質問:ちなみにPre-Kの標準は?

(Pre-Kとは日本だと幼稚園の年中さんです。キンダーガーデンは年長さんです)

カールソン=ペイジ

年中さんなら、たぶん20まで数えられることかしら。

概念を理解しているかどうかなんて、テストじゃわかりませんよね。年中さんなら20までなら、うちの息子もクリアできそうです。

3.マットデイモンの母親が考える幼児教育で一番大切なこと

The most important aspects in education—learning to think deeply, critically, and creatively, helping young people become active, caring, involved citizens—aren’t what’s valued or fostered.

 「最後にアメリカの教育について私たちへ伝えたい思いは?」という質問に対してのカールソンさんの答えが特に印象に残りました。
   

子供たちは、次のような根本的なメッセージを日々受け取っています。

世の中には、正解か不正解の答えがある。自分はその正しい答えを知っていなければならない。誰かが私にその答えを教えてくれて、きちんと理解しているかテストで評価される。

これは教育ではありません。教育とは、考える人になること。市民として問題を解決する人として、独自のアイデアと想像力をもつ人になるためのものです。数十年前と比べると、子供の中の創造性は失われつつあります。これは、教育現場で起こっていることが大いに関係しています。

教育について最も重要なこと、つまり、深く、批判的に、創造的に考えるために学び、幼い子供が活動的で思いやりをもった自主的な市民となることを手伝うこと。これらは、評価、推奨されていません。

優れた教育のこのような性質は、ビルゲイツの世界観にあるような言語に要約することはできません。(注釈:ここでビルゲイツが出てくるのは、ビル-メリンダゲイツ財団の多大な寄付金によりCommon Coreが現実になったといっても過言ではないため)

” 自分で考える力をつけること”って、言うほど簡単じゃないですよね。社会に出てからは、答えのない世界。自分の信じることをやり続けるのみ。息子には、ずっと続けられる何かを見つけて欲しいとねがってます。

おまけ

 教育論ではありませんが、彼女がマットデイモンの母親であることをどのように意識しているのか話してたので紹介します。最初のニュースの中では、マットデイモンの母親ということには全く触れていなかったので、ひょっとしたらマットデイモンの母親といわれることに抵抗があるのかな?と思っていましたが、そういうわけではないようです。
 

カールソン=ペイジさんいわく
 

もし私が確立したキャリアや、自分の仕事に対してアイデンティティや認識をもってなければ、たぶん違うように感じると思うわ。だけど、それは現実とは違うわね。
 
 人々はセレブの名前を聞いたとたん、耳を澄まして聞こうとするものなのよ。それ以外では興味を持たなかった人が聞くようになるわね。幅広い聴衆に話すときは、このことを気にかけるわね。

 うーん、確固たるキャリアがある女性はカッコいい。日本の芸能界は、だれだれの母というアイデンティティが強い方が大勢いらっしゃるようなので、こういう女性は新鮮です。

以上抜粋でした。

感想

英才教育をするにせよ、のびのびと育てるにせよ、親の価値観がぶれないことも重要だと思います。

たとえば、息子はまだ2歳なので、Common Coreは少しさきになりますが、Common Coreがどのような背景でつくられたものなのか?ということを知らなかったら、息子のテスト結果に気にしすぎて、急に勉強させたり。のびのび育てるほうがよいときけば、そのようにしてみたりとか。

周りの状況に振り回されて、そのつどフラフラと価値観を変えていたら、息子を観察する目を失ってしまうかもしれません。子供の教育方針は、何が正解かすぐに答えが出ることではないので、自分の信じるやりかたを信じるしかないようです。

モンテッソリーの教育方針でも、子供を観察することが大切と言っています。子供を見つめることの大切さ。日ごろの忙しさや自分の気分で子供の相手をしていることを反省します。ほんと、仕事が終わって疲れているときとか、風邪をひいて体調が悪い時とか、こどもに少しきつめに接したり...ごめん、息子よ。母親も修行中です。

幼児期は遊びの中で試行錯誤しながら学ぶことが大切な時期。

こんな単純なことですが、肝に銘じておきたいと思います。また息子が4歳5歳になったときに読み返したいと思います。

Common Coreについては、もう少し深く掘り下げようと思いますので、また別の機会に記事にしたいと思います。

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